染色マメ知識

本当の日本製は2%

先週、リモートにて繊維の勉強会が行われ京都工芸繊維大学の先生のお話をいただきました。
今回は『色』についての内容でしたが、世界でも日本の繊維製品の生産技術力は高く、
細かな仕事ができ、長く使用できるとの話でした。

同じ商品を購入したとして、海外製と日本製比較すると
色落ちせず縫製もしっかりしているのは日本製で長持ちするとの事、
それは、従事者一人一人の技術力が高い証拠だそうです。

ですが、利益優先の昨今
日本の繊維製品は2%しかないそうで残り98%は外国製になっています。
特殊な技術やノウハウを持つ職人さんも高齢化になり後釜もいない会社もあります。
素晴らしい技術があっても外国で生産していたら国内の技術は淘汰されると危惧してます。

そして日本は、技術者にとって厳しい環境でもあります。
あまり評価されず、重要とされない流れになっているからです。
それは、利益を求めすぎて技術は2の次3の次にされているからです。

諸外国と比べたら日本の技術力は歴然なのですが、
人件費や工賃を考えたら外国の生産にシフトし利益幅を作る製造ラインが
主要になっています。

国内の技術を淘汰する流れのままでいれば必ず困る時が来ると感じます。
最近も、中国の縫製ラインが満杯で縫製できない品物が溢れる事態が起きました。
焦った業者は国内で大量に縫製できる工場を見つけようとしましたが、
そのような大規模工場は、もう淘汰されており見つけることはできない状態になってしまっています。

気づいた時には遅い技術継承も工場も環境もなくなっている、
それが目の前に迫っている事は確かです。

イタリアのベネツィアで、ベネツィアングラスの職人さんと話をした時
彼らは言いました。『ベネツィアングラスの職人と仕事がなくなった原因は、中国で安くつくり価値を下げ、職人の仕事を奪ったから』
目先の利益を追求し物つくりの文化が衰退し疲弊したリアルな話です。

日本はそうならなよう
日々努力せねばならないのではないかと感じます。